無理をしないインデックス投資

30歳独身未婚一人暮らしメーカーエンジニアリング系子会社勤務男性です。ソフトウェアエンジニア。婚活中。趣味や資産運用についてつぶやきます。

【高値掴み安値掴みシミュレーション】S&P500を「高値買」「安値買」で積立投資してみる

(これが本当にコロナウイルスのせいなのかは疑問の余地ありますが)先週はNYダウが大暴落でした。今回は米国株インデックス長期投資に関するお話です。

 

 

SPオヤジさんによるシミュレーション

SPオヤジさんのブログ「S&P500で資産形成」の2018年11月23日の記事「S&P500積立投資で10年間『月間最高値』をつかみ続けてしまった男の末路」では2008年12月~2018年11月の10年間、10万円/月をS&P500に『月間最高値』で投資した場合と『月間最安値』で投資した場合の評価額のシミュレーションの結果が公開されており、その結果はネット上の投資家コミュニティの間で評判を生んだのでした。ちなみに、SPオヤジさんのブログ「S&P500で資産形成」では、紹介した記事以外にも投資関連の興味深いシミュレーション結果が掲載されており投資に興味のある方は是非一度目を通されることをおススメいたします。

s-p500.com

SPオヤジさんのシミュレーション結果によると、S&P500に10万円/月を2008年12月~2018年11月の10年間『月間最高値』で投入した場合、『月間最安値』で投入し続けた場合のシミュレーションを行った場合、その結果は元金1,200万円に対して『月間最高値』で掴んだ場合の時価総額は2,038万円(元金に対して1.69倍)『月間最安値』で掴んだ場合の時価総額は2,188万円(元金に対して1.82倍)というものでした。
(問題設定単純化のため為替変動や各種手数料は無視した計算ではありますが)シミュレーション期間中、S&P500への定額買い付けを実施すると元本に対する評価額1.69倍(『月間最高値』で投入し続けた場合)~1.82倍(『月間最安値』で投入し続けた場合)の幅の間に収まるということで、このシミュレーションの結果からは以下の2点が言えたのでした。

  • 安値掴みだろうと高値掴みだろうと運用成績はさほど変わらない
  • S&P500高値掴みで積立投資>>>>>>>>>>>現金保。とにかくS&P500への定額積立投資を中断しないことが大切(毎月定額買い付けさえしていれば、2008年12月〜2018年11月に限れば、どれだけ運が悪くても元本は1.69倍には膨らんだ)

 

 『最高値』『最安値』の時間幅を大きくとるとどうなるか?

上記のSPオヤジさんの記事では『月間最高値』と『月間最安値』に限ったシミュレーションを実施されていますが、最高値と最安値の時間幅をさらに大きくとると(『3か月間最高値』『3か月間最安値』や『年間最高値』や『年間最安値』とした場合に)どうなるのか、という疑問が湧いてきました。そこで今回はSPオヤジさんと同様の条件で、最高値と最安値の時間幅を変動させた場合のシミュレーション結果を紹介したいと思います。

 

シミュレーション

シミュレーション条件

青太字で示した部分以外はシミュレーション条件はSPオヤジさんの上記記事と全く同じ設定とします。

・NISA枠と同じ年間120万円(月10万円)を10年間積立投資したとします。
・運悪く(運よく)120ヶ月(10年)連続で月間に加えて3か月間、6か月間、年間最高値(最安値)で買付してしまったとします。
・期間は2008年12月~2018年11月の10年間です。
・投資するのはS&P500です。
・為替変動は無視します。
・各種手数料は無視します。
・1円単位まできっちりと購入(投資)できるものとします。

 

『月間最安値』『月間最高値』の結果

SPオヤジさんと同じ条件でシミュレーションした結果です。

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『月間最安値』『月間最高値』

投資元本:1,200万円(10万円/月×120か月)に対して
月間最安値:2,208万円
月間最高値:2,057万円
という結果になりました。SPオヤジさんの結果(月間最安値:2,188万円、月間最高値:2,038万円)と若干異なりますが、恐らくは私のシミュレーションの結果が2018年11月末までを含めているのに対し、SPオヤジさんは記事を執筆された2018年11月23日時点での評価を行っていることによるものと思われます。いずれにしても、SPオヤジさんと私のシミュレーション結果の時系列の資産推移はほとんど一致しておりますので、SPオヤジさんのシミュレーション結果をほぼ再現できたものとします。

 

『3か月間最安値』『3か月間最高値』の結果

『3か月間最安値』『3か月間最高値』のタイミングで30万円(10万円/月×3か月分)投入するものとします。

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投資元本:1,200万円(10万円/月×120か月)に対して
3か月間最安値:2,294万円
3か月間最高値:2,015万円
という結果になりました。『月間最安値』『月間最高値』と比較して差は広がりますが、『月間最安値』『月間最高値』との差異は思ったほど大きくないなと感じましたが、皆様はいかがでしょうか?ちなみに『3か月最安値』と『3か月最高値」の税金手数料を無視した差異は2,294万円ー2,015万円=279万円とおおよそ新車を1台買える程度です。

 

『6か月最安値』と『6か月最高値』

『6か月間最安値』『6か月間最高値』のタイミングで60万円(10万円/月×6か月分)投入するものとします。

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投資元本:1,200万円(10万円/月×120か月)に対して
か月間最安値:2,356万円
か月間最高値:1,975万円

という結果になりました。『6か月間最安値』と『6か月間最高値』の差は2,356万円ー1,975万円=381万円となります。確かに『月間最安値』-『月間最高値』、『3か月間最安値』-『3か月間最高値』と差は広がっていきますが、10年程度の運用では劇的に広がるわけではないようです。

 

『年間最安値』と『年間最高値』

さらに期間を広げてみます。『年間最安値』『年間最高値』のタイミングで120万円(10万円/月×12か月分)投入するものとします。

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投資元本:1,200万円(10万円/月×120か月)に対して
間最安値:2,478万円
間最高値:1,918万円

という結果になりました。『年間最安値』と『年間最高値』の差は2,478万円ー1,918万円=560万円となります。さすがに『年間最安値』と『年間最高値』ともなるとその差は結構開くという印象を受けます。ただし、『年間最高値』で掴み続けてもなお、投資元本1,200万円に対して1,918万円と税金手数料の考慮なしで718万円の利益が出ているということは驚くに値します。

 

まとめと考察

今回のシミュレーションの結果をまとめると以下のようになります。

積立期間 2008年12月1日~2018年11月30日
総投資元本 1,200万円(10万円/月×120か月)
買付間隔 月間 3か月間 6か月間 年間
最安値買   (投資元本比)

2,208万円

(1.84倍)

2,294万円

(1.91倍)

2,356万円

(1.96倍)

2,478万円

(2.07倍)

最高値買

(投資元本比)

2,057万円

(1.71倍)

2,015万円

(1.68倍)

1,975万円

(1.64倍)

1,918万円

(1.60倍)

最安値ー最高値 151万円 279万円 381万円

560万円

やっぱりS&P500に積立投資しない<<<<<<<<<<<高値掴み

これはSPオヤジさんの記事と全く同じ考察です。『年間最高値買い』(その年の最高値のタイミングで120万円を一気に投入)しても投資元本1,200万円にたいして1,918万円と1.6倍に膨らんでしまうわけです。現金で保有しているよりもS&P500に定額積立投資していたほうがはるかに良いと言えます。

安値買できれば利益は増加する

これは当たり前ではあるのですが、買付間隔を長くとる(取得単価が小さいタイミングで沢山買付する)ほど利益は増加します。『年間最安値買』-『月間最安値買』=2,478万円ー2,208万円=270万円という結果になりました。

高値買による利益減少はそれほどでもない

一方で、買付間隔を長くとることによる最安値買の利益増加(『年間最安値買』-『月間最安値買』=2,478万円ー2,208万円=270万円)に対して、最高値買による利益減少(『月間高値買』-『年間最高値買』=2,057万円ー1,918万円=139万円)がそれほどでもないということです。これって今回のシミュレーションの対象とした積立期間(2008年12月1日~2018年11月30日)特有なのでしょうか。いずれにしても2008年12月1日~2018年11月30日の10年間に限って言えば、よほどの高値買(年高)で買付てもそれほどの利益減にはならないということが言えます。

毎月の定額自動積立+暴落時のETF購入で投資パフォーマンス向上

冷静に考えてみて、買付間隔(月間、3か月間、6か月間、年間)に関わらず、『最高値』『最安値』を掴み続けることなんてほぼほぼあり得ないわけです。実際のところルーレットで適当に決めた日付に買付を行ったとしても、評価額はせいぜい2,000万円~2,200万円くらいの間にほとんど収まるのではないかと個人的に考えております(買付日を乱数で決めてシミュレーションすれば定量評価できそうですね)。今回のシミュレーションの対象とした積立期間(2008年12月1日~2018年11月30日)に限って言えば、高値掴みによる利益減少<安値掴みによる利益増加ということが示唆されます。したがって、S&P500投資に関しては次のことが言えると考察します。「毎月の定額自動積立+暴落時のS&P500ETF購入で投資パフォーマンスは向上する」

 

最後に~いま(2020年2月末)がまさに追加投資のタイミング~

S&P500は2020年2月17日に史上最高値3393.52を付けたものの、その翌週(2/24~2/28)には大暴落。2/28の終値が2954.22ですから、たった一週間で10%減というまさに暴落の局面に我々はいるわけです。2019/12から2020/2にかけてS&P500指数は目覚ましい右肩上がりっぷりでした。筆者は2018/12から株式投資に参入し、S&P500ETF(1557)への投資を行っておりますが、2019年は結構良い一年で、投資1年目でいきなり年利換算10%を超えるという幸運に巡り合えました。それと同時に、せめて2019年の夏~秋にもっと買っておけば良かったなと後悔していたのですが、2/28の終値である2954.22というのはまさに2019年の夏~秋の水準です。この暴落によって時計の針が巻き戻されたのです。

ETFの運用成績は購入単価×株数で決まります。購入単価を低く抑えつつ、できるだけ多くの株数を持つことだけで運用成績が決まります。すると、このような暴落局面は長期投資組にとってはチャンスでしかありません。週明けは少しでも運用成績を上げるためにも、S&P500ETFである1557を追加購入したいと考えております。